2025/05/14
木と人が出会い、物語が始まる“SOWOODの家”
~職人たちの手と心が重なり合う、家づくりの現場から~
2025年6月、「SOWOODの家」を発表しました。日本の木材をふんだんに使い、伝統的な板倉工法で丁寧に仕上げた、唯一無二の住まいです。 “今、日本に必要な家”をかたちにするために、素材、工法、設計、すべてにこだわってつくり上げたSOWOODの家。深呼吸したくなる家は、森の恵みに包まれた暮らしは、毎日をちょっとだけ特別にしてくれます。
6月の発表に先駆けて、栃木県にモデルハウスが誕生しました。今回は、SOWOODのモデルハウスを建てられた株式会社ドリームクリエイトの道山 隆史さん(工務)にインタビュー。職人たちとともに家を築き上げたその日々、そして家づくりに込めた想いを語っていただきました。
Q
SOWOODの家づくりに携わるにあたって、どのようなお気持ちで現場に臨まれたのでしょうか?
道山さん
今回、SOWOODの家づくりに携わるにあたって、最初は正直、不安がありました。というのも、今回の現場で採用された「板倉工法」は、私自身にとっても初めての挑戦だったんです。これまで経験のない工法に取り組むというのは、どうしても緊張しますし、「うまく納まるだろうか」「本当に完成まで持っていけるのか」といった不安な気持ちを抱えながら現場に入りました。
それでも、工事が始まってしまえば、もうやるしかありません。「絶対に納めてやるぞ」と気持ちが切り替わりましたね。そういうところは、やっぱり現場を預かる者としての意地というか、プロとして譲れない部分なんだと思います。
Q
初めての板倉工法という中で、施工の過程で特に苦労された点や、心に残っている場面について教えてください。
道山さん
とはいえ、現場では何度も泣かされました(笑)。たとえば真壁にフローリングを張るような作業。柱の間に寸分の狂いなく収めなければならないのですが、これが結構難しい。木を表わしで仕上げるため、普段のやり方とは違い、収まりの精度が求められる場面も多くて、丁寧な作業を心がけました。「泣かされる」なんてよく言われますけど、泣きたくなるほど繊細な作業が普段より多くありました。それでも、「いい家にしたい」という思いは、設計チームや職人の皆さんとしっかり共有できていました。正直、途中で妥協を考えた場面もありましたが、「やっぱりきれいに納めよう」と気持ちを立て直し、時間や手間がかかっても納まりの美しさにこだわり抜きました。
なかでも一番印象に残っているのは、最後のウッドデッキの施工です。幕板を打ち終えて、「ああ、終わったな」って一息ついた瞬間、職人みんなで「終わらないかと思ったよ」と笑い合って。あのとき流れた涙は、単なる感動ではなく、「やりきった」「やり遂げた」という誇らしさと安堵が入り混じった、“現場だからこそ味わえる涙”でしたね。
今回は工期がタイトで、コストも決まっているため、現場の段取りや連携は非常にシビアでした。さらに、構造図・プレカット図・意匠図・平面図など、目を通すべき図面の量が多く、最初は戸惑いもありました。でも、プレカット業者さんや関係者と密に打ち合わせを重ねる中で、「これなら納められるかもしれない」という感覚が少しずつ芽生えていきました。やっぱり、誰とどう組むかで現場の空気は大きく変ってきます。
そして、もしまた次の機会があるなら、今度はもっと上手くやれる自信があります!段取りのイメージもつかめていますし、今回見えた反省点もすでにメモに書き出しました。初めてだからこそ見えた課題も多かったですが、それも含めて、「もう一度やりたい」と思える、かけがえのない現場でした。
Q
SOWOODの家づくりを通じて、改めて感じた“木の良さ”とは?
道山さん
やっぱり、木っていいなと、改めて感じました。手に触れたときのやさしい質感、ほのかな香り、そして時間とともに移ろう表情。手をかけたぶん、きちんと応えてくれるし、丁寧につき合えば、何十年という時をともに歩んでくれる存在です。
今回、板倉工法という初めての挑戦を通じて、「木と生きる家づくり」の奥深さと楽しさを、あらためて実感することができました。
またぜひ挑戦したいですね。また泣かされるかもしれませんけど(笑)。